矯正相談の前には口腔内写真5枚組を撮影する。
撮影しながら口の中の様子を観察し説明することを考える。
今日の2件目の相談症例は16歳女子高生だった。正面像は正中一致、適切なオーバージェット、オーバーバイトで問題ない、
上顎下顎は叢生も捻転もなくきれいなアーチで問題ない、
左右側面は大臼歯関係左右ともⅠ級、犬歯関係Ⅰ級で問題ない。
それでは、これは、きっと矯正治療のセカンドオピニオンだと感じた。
こんなに非抜歯で、うまく治してるのに何が問題なんだろうと思った。
写真を撮り終えてそれを見ながら相談して行く時に、矯正の治療経験を聞いた。
そしたら矯正治療はしたことがないと答えた。それでは「これが正常咬合なんだ!」と教科書の正常咬合の条件を思い起こした。
それでは一体何が主訴なんだと問診票を見た。出っ歯のところにマルがついている。
そう言われてみれば確かに上顎前歯が少し唇側傾斜しているかもしれない。
口唇も少し閉じにくいかもしれない。
しかし、その程度で抜歯して口元を後退させるのかなあ、または親知らずを抜いてアンカースクリューを使って歯列全体を後方移動させるのかなあ、とその大変さと効果について考えた。
結局、治療はお勧めしなかった。本人は積極的ではなく母親が気にしているだけのようだった。
その母親が帰り際、私の説明を聞いて安心したように帰っていったと受付が話していた。