今日の矯正相談のうちの1件は15歳女子で症状は開咬を伴う上顎前突だった。
まず最初に尋ねる事は何が一番気になっているのかという主訴である。
尋ねると「前歯が咬んでも開いている」などと話し始めるが積極的では無い。
一般歯科の先生からの「相談に行ってみなさい」と言われていることが、来院の動機のようだ。
それでも以前から一般歯科に来るアルバイトの矯正歯科医に定期観察をしてもらっていたようだ。
医療一般に、そうかもしれないが、特に矯正歯科では強い主訴と治療への意欲がないと成功しない。
母親から問われるのは何で治さなければいけないのか、治さないと、何の不都合があるのかと問われている。
咬むこと、発音など教科書的なことを答えても、それには特に不自由を感じていない。
だから、下顎を前方に出させて前歯が接触ないことを確認して、「前歯でかみ切れないでしょう」と問えば、その通りなのだが特に気にしていない。
しかし、たぶん短期間で低料金で簡単な治療法ならば、おそらくすぐに治療開始と言うことになるだろう。
その辺が矯正治療の問題点で、そこに一部保険が入ってきて誤解を招く。
今例でも顎変形症の話も聞いてきたようだが、そこから説明し始める様な症例でもない。
それを治療を受けるようにのが歯周病などでよく使われる「動機付け」なのかもしれない。
でも、なんだか矯正治療の場合は患者さんが積極的になるのを待った方が良いような気がする。