1994年、7歳で初診だった女の子が今日29歳の女性として来日した。
カルテを見ると7歳の時から骨格性の反対咬合および開咬があり、その当時の考え方で長い間チンキャップをかぶってもらい下顎発育抑制を行った。
その後、短期間でマルチブラケットでまとめて、切端よりわずかに被蓋している程度で2005年に終了になっていた。
今日、診て終了時の口腔内写真と比較すると前歯部左側は反対咬合になり、下顎には歯間の空隙がより大きくなったように見られる。
もちろん顔つきは長く、明らかなオトガイ部の突出が認められる。
この状況で相談に来た場合、 10年以上も治療しその後10年以上の経過しているということから考えると前の治療とは関係なく始めるしかない。
顎変形症としての治療をどう考えているかと恐る恐る聞いてみた。
やはり、いろいろと調べていて、それを意識して相談に来たようだ。
そうとなれば当クリニックでは顎変形症を治療できるのでその説明を詳しく行った。
しかし、家族には手術のことまでは言っていなかったようで、家族と相談して決定するとと言っていた。
その説明時に、今なら7歳の同じ患者さんが来た時、同じ治療はしていないだろう、といった。
やはり顎変形症治療の発達と保険への適用はこの20数年間の間の大きな出来事といえるだろう。
この患者さんが実際にどうされるのかはまだわからない。
しかし長い間矯正治療の仕事に携わっていると、こういうことも経験するのだな、と感じている。