以前に矯正相談に来た14歳女子中学生が今日検査に来院した。
上顎正中2 mmほどの隙間があり、その分だけわずかにオーバージェットが大きい。
それ以外両側の臼歯咬合関係は正常で、下顎前歯も全く叢生はない。
しかし口元は出ていて口唇閉鎖は容易ではない。
主訴は正中離開で、口元に対する要望はあまりないようだ。
矯正相談の時のことを思い出すと、私は口唇閉鎖不全は改善したいものの、正中離開以外きれいに揃っている歯列咬合くずして並べ直したくないと思っていた。
そして正中の閉鎖だけでも良いのなら簡単にやりましょうか、というような言葉で表現した事は覚えている。
しかし今日検査に来てみると、どうしても口唇閉鎖不全のことが気になる。
本来、検査してから診断し治療方法の相談することだろうが、検査前に抜歯か非抜歯かの希望を聞いてしまった。
非抜歯と答えがあったのに、もう一度抜歯と口唇閉鎖についての説明をしてしまう。
矯正歯科医とすれば抜歯して口唇閉鎖を容易にすることが当たり前だし、その技術を持っているつもりだ。
でも良い咬合を崩して並べ直したくないと言う気持ちも持っていた。
その時の迷いが、矯正相談の表現となり、結局は患者さんの希望通りにします。正中離開改善だけなら非常に簡単です。それもいいでしょう、と理解されたようだ。
だが今日、それを希望されてほっとしているのかもしれない。
もし抜歯を希望して口元の改善を要望された方がもっと悩むかもしれない。
もう矯正歯科医として年を重ねているので、そんなことで悩んでいてはいけないのかもしれない。
でも常に悩み考えることも必要ことではないだろうか。
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