アンカースクリューを固定源にして歯の移動を行う治療法は、日本でもかなり普及してきている。当クリニックでも、多いとは言えないが、適用している。
しかし、植立する部位の多くは上顎の第2小臼歯第1大臼歯と間で、犬歯や前歯の遠心移動のアンカーとして使うことだけだった。
このたび下顎前歯がほとんど見えないくらい咬み合わせが深い17歳の女子の両側側切歯、犬歯間にアンカースクリューを植立した。
そしてメインアーチワイヤーとの間でパワーチェーンで引くこと5カ月で切端咬合に近いくらい咬み合わせがあがった。
アンカースクリューを多く手掛けている矯正歯科医には当たり前のことかもしれないが、私は新たな技術を手にしたと喜んだ。他の方法でかみ合わせをあげるのに苦労している経験から、この方法は優れていると思う。
臨床家は多くの経験から学びとって行くのは当然だが、少なくてもしっかり検証して知識、技術を磨きたい。