ここ数日、知人の矯正歯科医の歯根吸収の相談にのっている。
矯正治療の過程でだいぶひどい歯根吸収を起こしたらしい。
私は開業以来20年近く、歯根吸収に興味をもち、デンタルX線写真を定期的に撮影して研究してきた。
日本矯正歯科学会やAAO(アメリカの矯正学会)で何度か展示発表している。
その結果を2003年にまとめて雑誌に書いた。
歯根吸収の原因や経過、対策など質問してきたので、まずそれを送った。
続いて、教科書的な文章や論文の結論的なものも送った。
そして、午前中電話で話してさらに事情がわかってきた。
歯根吸収は、矯正治療を行うと、ほとんどの患者さんに起こるというのが私の結論だ。
しかし、それは、臨床的には、ほとんど問題にならない、ごくわずかなものが大半だ。
その中で、はっきりと原因が分からないが、ひどく吸収してしまう例がわずかにある。
そのわずかに例に今回あたってしまったのだろう。患者さん、矯正歯科医ともに不運としか言いようがない。
また、それが矯正治療だけが原因なのかはっきりしないことが現状だろう。
その知人は起こってしまった事実と向き合って誠実に対応しようと努力しているのでそのお役にたてればと、相談にのっている。