先日、マルチブラケットを着けた患者が、痛くて楽器が吹けないと、なんとかならないかとの電話が入った。
来院前にどういう状況か想像ができず、柔らかい熱可塑性素材でマウスガードのようなものでも作って演奏の時だけ使ってもらうかなどと考えていた。
しかし、来院した患者に事情を聞くと、6月に演奏会があり、その中心となって演奏するため、痛みをなくすだけでなく、ちゃんと吹きたい、そのためには余計なものを付けたくないようであった。
結局、シリコン素材で保護してあった、上顎左右の側切歯、犬歯部のブラケットを2カ月間はずすことにした。
矯正治療としては、治療進行上好ましいとは言えないが、患者の大切な演奏会に向けての練習がうまくできるほうが、よいであろうと判断した。
矯正治療も大切だが、生活の中で行われていることなので他のことにも配慮する必要があると思った。