25歳女性の矯正相談があった。診ると咬合が浅い反対咬合だった。
両側側切歯は下顎とは接触していなかった。
患者さんはその接触していないことを「隙間がある」と言っていた。
また、歯面に初期の齲蝕と思われる褐色の色が広がっていて、それが気になると言っていた。
そこで、現状が反対咬合であること、その結果下唇が出ていることなど説明したが、「そのことは気になっていない」と答えた。
褐色の歯面のことならば矯正歯科ではなく、一般歯科で治療してもらうことになると説明した。
それで、この相談は終わりかと思ったら、「歯の重なっているのは気になる」と話し始めた。
何のことを言っているのかわからなったが、結局上下中切歯が反対に咬んでいて正面から見れば重なっているということらしい。
さらに聞いていけば横顔で口元が気になるという。結局、気になっていたわけだ。
最終的に主訴は分かり、矯正歯科での相談に誤りはなかったのだが、理解するまでに手間取った。
以前に顎変形症がらみの相談の時に、咬合が気になっているのか、顔貌が気になっているのか、どちらが主訴なのか聞くいておくことは大事だと思ったことはある。
今回は顎変形症の対象とは考えないが、主訴を聞き出すのが難しかった。
それは、うまく説明できない患者さんが悪いのではなく、我々が、うまく聞きだす技術を学ぶべきだと思っている。