今日の矯正相談は21歳女性、下顎の叢生が主訴だった。
口腔内を診査してみると、上顎の6前歯が連結されて補綴してある。また右下犬歯がない。
事情を聞いてみると、ごく最近、その補綴はなされているようで、また犬歯の抜歯は別の歯科院で行われたそうだ。
もちろん、どちらも一般歯科で、聞き始めは歯科医が矯正について理解がないのかと思っていた。
しかし、そうではなかった。犬歯を抜く際にはその歯医者は「犬歯は抜く歯ではない」と説明があったが患者さんの希望で抜いたそうだ。
補綴したところでは、初めに矯正がふさわしいと説明があったそうだ。それを相談者が「矯正はしない」と答えて補綴による治療が始まったようだ。
これでは、両歯科医は問題ないと思う。
しかし、その状態で矯正専門医の私に相談されたわけだが、どう説明したら、どう治療したらよいのだろうか。
なんで、矯正歯科に最初に相談してくれないのかと考え込んでしまった。
それでは、下顎の叢生は治せないのか問われ、治せないこともないが・・・程度の返事で終わった。
このようなことになったのは単純に相談者の責任だけなのだろうか?
なぜ、起きただろうか?これだけインターネットが普及し情報が氾濫している中で、適切な情報が伝わったいないのだろうか。
詳しい人は多くの知識で迷い、また今日のように現実に対応する知識となっていない。
今日のようなことが起こらないように、我々の所属する、日本矯正歯科学会、日本臨床矯正歯科医会などが正しい矯正知識の普及に努めていると思うが、よりしっかりっとお願いしたいと感じた。