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歯根吸収の経過観察

4年ほど前にマルチブラケット治療を終了し保定観察中の女子高生が来院した。

その患者さんはマルチブラケット治療中に左上側切歯の歯根吸収がみつかった。

当クリニックでは定期的にレントゲン写真を撮り患者さんに説明している。

心配だったので早めにマルチブラケット治療を終わり、フィックスドリテーナとクリアリテーナで保定した。

定期観察で昨年は問題の左上側切歯の遠心面が虫食い状にギザギザし、歯髄との間に象牙質の像がはっきりしなかった。

これは吸収が進んでいと考えた。そしてこの先が心配だと伝えた。

そして1年後の今日、レントゲン写真を再び撮影してみた。

昨年見た遠心面のギザギザはなめらかになり、歯根膜と象牙質ははっきりと見える。

これなら歯根吸収が進む心配はない。そのような画像を見て安心した。

この歯の歯根吸収は矯正治療のために起ったのではないような気がしてきた。

初診時のレントゲンでは叢生のため歯根が良く見えていなかった。

叢生が改善されて歯根吸収が見えるようになって矯正治療に起因するものと思った。

しかし、矯正治療に起因するものは保定にはいれば進行しなくなる。

それが保定開始3年目で進行したように見え、4年目で修復されている。

歯根吸収については何度か学会発表しているがこのような例はなかった。

どうなっているのか、とても興味深い。

ともあれ1年の経過観察で良い方向に向かっていてよかった。

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