診断が終わった9歳の男の子が、今日はバイトプレートの印象のために来院した。
その男の子が「どうして僕の歯はこんなになっているんですか?」と質問してきた。
質問の内容は不正咬合の原因は何かということだろう。
答えに詰まってしまった。
もちろん、教科書的には遺伝の要因とか環境的な要因とかそれらをさらに項目分けして説明していることぐらいは承知している。
その男の子の上顎前突の場合、おそらく指しゃぶりでもない。
だから遺伝的なことを疑い「家族で似たような顔はないか」とか聞いてみたりしたが、はっきりした答えにはならなかった。
そして「いい質問をするねぇ」とだけ褒めるしかなかった。
診療が終わり、早速教科書を開いてみた。
「不正咬合の原因」という項目がある。
その最初に書かれていることは
–どんな疾患でも同様であるが、特に歯科矯正学上不正咬合の原因を追求することは極めて重要な問題である。–
にもかかわらず、治療に際しては、原因よりも現症を診てその対応に追われているような気がする。
その子供の素朴な質問で不正咬合の原因ということについて見直す気持ちになった。