夕方、10才で全部永久歯に生え変わった女の子の診断を行い、治療方針を説明した。
そのケースは犬歯の低位唇側転位で正中もずれていたので4本の小臼歯を抜歯する治療方針とした。
その説明をご両親共に聞かれていて、父親の方から質問があった。
「抜いた隙間はどうなるのですか?」と。
このような質問は初めてのことではない、何度も聞かれた事がある。
私たちは歯を動かして治療するので抜いた隙間が閉じていくことを当たり前の感覚でいるが、一般歯科治療で、まだまだ歯は動かないことを前提に、治療がなされていることが多い。
だからその父親の質問も当然のこととなる。
そんな時には、いつも叢生の患者さんの治療前治療後の歯型を見せることにしている。
治療結果は抜いた歯の部分の隙間はなく、どれを抜いたか確認しようと思っても、歯の知識の無い方には難しい。
それを見てもらった上で抜いた歯の部分には、まず血液がたまり、それがだんだん骨になっていく。
だから、そこに歯を動かすことも可能となる、というような説明をする。
こんな文章を書きながら、 40年以上前だが歯学部の学生で矯正の講義で歯が動いて並んだ時スライドを見た時の感動を思い出した。