一昨日、東京飯田橋の日本歯科大学 九段ホールで行われた第38回顎関節学会学術講演会に参加した。
今日の午前中、講演の要点をスタッフの歯科衛生士に説明して、これからの当クリニックでの顎関節症状を訴える患者さんへの対応を打ち合わせた。
この学術講演会は午前10時から午後4時20分まで五人の講演者が続けて講演し、午後の部では実習も行われ有意義な講演会だった。
顎関節学会は20年ほど前から入会してはいたが、年会費を払い、学術雑誌が届くだけでほとんど大会や講演会なども出たことがなかった。
しかし顎関節に興味がないわけではなく、時々相談もある。
相談があった場合、自分でスプリント作ったり口腔外科に依頼したりしていた。
しかし口腔外科に依頼しても、こちらで考えているような根本的な治療のようなことにはならず、症状の改善で終わりになってしまうのだ。
そこで学会ではどのようなことを教えてくれるのかと今回は参加してみた。
矯正歯科をやっていると、どうしても形態を重視してしまう。
顎関節についても崩れた形態を修復すれば機能も改善するだろうというようなことを考えていた。
講演を聴くと顎関節の治療もかつてはそのようなことが行われていたようだ。
しかし、そんなことをしても戻ってしまい無駄なことで、現在はほとんど行われていないようだ。
そして相談の多い痛みを伴わないクリック音はあまり治療の対象と考えていないようだ。
今まで顎関節の治療の診断の決め手となるのは MRIだと考えていたが、それはその撮影が気軽にできる日本の特殊事情であることがわかった。
結局、世界標準の分類や画像診断(MRI,CT)をしてみても、痛い、口が開かないと言う困る症状を応急的に改善することだけが臨床で行われる現状なのか、と感じた。
そしてそれを治療するには、難しい外科手術ではなくマッサージや開口訓練、スプリント、冷やす、暖めるなどの比較的簡単な処置が主だった。