24歳女性の診断を行った。
ケースとしては、上顎の後退があるが反対咬合ではない。
上顎には著しい叢生(右上側切歯は完全に口蓋側転位、左上犬歯は完全に唇側転位)があり、下顎は軽度な叢生が認められる。
これだけでも治療方針には悩むのだが、パノラマレントゲン写真を見ると上下顎前歯と小臼歯部のすべてにわたり著しく歯根が短い。
正常の半分ぐらいの長さといっても過言ではない。
もし、これが治療後の写真であったら青ざめてしまう。
矯正治療の経験もないようなので矯正治療によって起こったということは考えられない。
しかし、これから矯正治療を行おうという際にこの歯根の短さに非常に悩んでしまう。
私は今までに歯根吸収に関しては日本矯正歯科学会やAAO(アメリカ矯正医会)で、何度か展示発表したことがある。
だから、これからの矯正治療についてある程度の予測ができる。
歯根が短いからと言って、それがどんどん、さらに短くなっていくとは考えられない。
しかし現実にそれを矯正治療をしていくとなると心配だ。
だから抜歯する歯は残った歯をできるだけ動かさずに済むこと、2つ候補が考えられるが、より短い方抜くことそんなことを基準に抜歯部位を決定した。
そして、その事を十分分説明した上で患者さんは矯正治療を開始することを決定した。
動的治療を終了する 2年後にはどんな状態になっているのか。
レントゲン写真を見るのが怖いが、数ヶ月ごとにしっかりレントゲン写真を観察していかなければならない。