20歳女性の診断を行った。
症例は右下側切歯と犬歯がかなり深い位置に水平埋伏している。
さらにパノラマX線写真では向きが反対のようにも見える。
そこで静岡医療センターでCTを撮影してもらい、その位置関係を立体的に見ることにした。
撮影していただいたデータをスライスされた画像から立体を想像できる。
しかしドルフィンではそれを立体的な画像としてみることができる。
骨の色ををだんだん透明に近くしていくと歯のみが浮かび上がる。
素人でも埋もれている歯の向きや位置関係が非常に分かりやすい。
パノラマで見た感じとはちょっと違い完全に向き合っているわけでもなかった。
その画像を先日の日本臨床矯正歯科医会であつまったメンバーに診てもらった。
しかし、その歯を出すと言うような意見はなかった。
2本の埋伏歯の下に写っている犬歯にはろ胞性歯嚢胞と口腔外科からの報告にあり、観察はないと書かれていた。
それでは抜歯かというとかなり大変な手術になりそうだ。
主訴は上顎犬歯の唇側転位なのでその遠心の第一小臼歯は抜歯することになる。
下顎の前歯は右に傾斜して合計3ミリほどの隙間がある。
どのような治療方法を提案しようかと迷ったが、上顎のみの抜歯で、下顎の埋伏歯はそのままで排列してしまうことにした。
歯根がぶつかり動かなくなったり吸収したりする可能性も伝えた。
そして、レントゲンを時々撮影して嚢胞の程度を診ていくことにした。
できるだけ簡単な手段を選んだが、なんとか負担の少ない形で良い結果が得られないかと考えている。