マルチブラケット治療で10ヶ月ほど経った20代男性の患者さんが来院した。
初診時の症状は叢生が強く、上顎前突傾向だった。
そこで上顎のみの抜歯で治療を開始した。
現在、上下顎に叢生はほぼ改善し、抜歯空隙も全部閉鎖した。
だが前歯部はわずかだが反対咬合になってしまった。
現在のこの状態から治せないとは思っていない。
片顎抜歯だったから、下顎も第2小臼歯を抜けば被蓋はつく。
まだ開始から10ヶ月だから、それ程の遅れにもならないと思う。
下顎を全体的に後方に移動する考えもある。
しかし、それには下顎両側の智歯を抜かなければならない。
下顎前歯のスライスの案もあるかもしれない。
いままであまり前歯を後退させてしまわないように上顎は第一大臼歯までのアーチワイヤーで抜歯空隙を閉鎖してきた。
今日は空隙は閉鎖したので第2大臼歯までワイヤーを通して再度レベリングを行う。
そして3級ゴムをかけて前歯部の被蓋が着くことを期待した。
来月の様子で下顎前歯部のスライスを行うことになるかも知れない。
片顎抜歯でオーバージェットを残さないことや治療の期間短縮などメリットもある。
診断時の適切に使うことが肝要だと思う。