クリアリテーナーを保定装置として主に使い出して30年以上になる。
簡単に安価に作れてとても良い装置と思っている。
しかし欠点もある。そのひとつに咬合面を被っていることがある。
クリアリテーナーだけで保定していた頃には、終日使用は半年程度でそれから夜間使用とした。
固定式リテーナーを併用しだした5年ほど前からは最初から夜間使用にしている。
そのような使用では咬合面を被っていることはほとんど問題にならなかった。
今日、来院した患者さんは二十歳の男性でクリアリテーナーを2年ほど終日使用していた。
当クリニックではもう夜間使用にと言っていたが自分で終日使用していた。
今日は左大臼歯が咬まないとう訴えだった。調べるとわずかに咬合していない。
舌の縁には歯の痕があり、頰寝粘膜にも同様に歯の痕がある。
舌癖を疑い、説明した、その原因をクリアリテーナの終日使用かと推察した。
患者さんは終日使用を良いこととして続けてきたようだが、問題があることも説明し夜間使用に切り替えてもらった。
舌癖については訓練があるという説明だけは行ったが、積極的には行わず様子を見ることにした。
咬合面を被わないクリアリテーナを試作したこともあるが、臨床使用はなかなか難しそうだ。