20才代男性でマルチブラケットでの治療が最終段階に来ている。
当クリニックでは記録的な治療期間の長さ4年が近づいている。
バイトも挙り、正中も合って両側臼歯関係も良好となった。
そこで、はずす前段階のフィックスドリテーナの接着を提案した。
そうしたら、上顎犬歯が出ている(廷出)という。
それは側切歯とのステップ1㎜のことと思い正常模型を見せて説明した。
それは理解してもらったが、言いたいことはもったあった。
それは下顎の前方運動左側犬歯と下顎第一小臼歯が早期接触を起こしていることだった。
本来、終了に当たっては、静的な仕上がりだけで無く、顎運動させて診ることも大事だ。
しかし、その辺は見過ごして、咬合させた状態で良好ならはずすことが多かった。
今回このような事例で、終了の目安に顎運動もみることの重要性を感じた。
当然、治療期間が延びるが、その問題が解消されるように上下顎のワイヤーベンドを行った。
子供達が矯正治療の対象だった時期は適応が大きいのであまり顎運動を診てこなかった。
大人が多くなって、細かなところまで診ていかなければならないと思った。
その一方で適応の大きい子供達こそ矯正治療にふさわしいとも感じた。