昨年8月に左上犬歯の開窓手術をして牽引誘導した男子高校生が来院した。
当クリニックに来る前に開窓手術が2泊の入院で予定されていた。
パノラマX線写真では犬歯は近心傾斜して、近心の側切歯の根尖部分と重なって写っていた。
側切歯の歯根吸収はそのレントゲン写真でははっきりしなかった。
そんなに深い位置ではなかったのでリンガルアーチを固定源に牽引しはじめた。
半年もしないうちに歯列には並んだ。
レベリングはだいぶ進み、今日はパノラマX線写真を撮影した。
X潜像ではほとんど問題なく歯は排列できていた。
しかし、左上側切歯の根は明らかに短い。
そして、側切歯と犬歯の間には歯槽骨が根尖近くにしかない。
特に、側切歯は歯根が吸収していて短いので、根尖を少し被っているだけだ。
それでも近心は十分に骨に被われているので、すぐに抜けるような心配はない。
初診にレントゲン像と比較してみると近心傾斜埋伏していた犬歯の影響だとはっきり言える。
それでもこの時期に埋伏歯を出しておいて良かったのだと思う。
そのままにしておくと側切歯の吸収はひどくなり、中切歯も根吸収することもある。
このことから初診時にCTがあれば立体的位置関係がもっとよく分かったのに思った。
そのうちに導入も考えなければならないだろう。