矯正治療における抜歯は難しい診断となる。
あまり叢生がなく口元が出ている患者さんの対応には苦慮する。
今日、保定診断した30代前半の女性だが、主訴は出っ歯だった。
とはいってもオーバーバイト、オーバージェットは標準的だった。
叢生は上下顎に少しにある程度だった。
何より、両側臼歯咬合関係はⅠ級で良く咬んでいる。
口唇閉鎖は著しく悪く、オトガイ筋の緊張を測る筋電計の値はとても高かった。
どの程度の改善が見込まれるか心配だったが、上顎左右第一小臼歯、下顎左右第二小臼歯を抜歯して始めた。
治療途中では、あまり改善が見られないのではないかと思いながら続けた。
開始から1年9ヶ月程度が経過し抜歯スペースは閉鎖し咬合関係も良好になったので先月にマルチブラケットを撤去した。
そして1ヶ月後、今日の保定診断となった。
患者さんに渡す初診時との比較写真を診ると治療後の横顔ではトガイが形成されているように見える。
正面像ではオトガイの緊張がなくなったようにも見える。
まだ、普通にしていると歯が見えているようだが、閉鎖したときの筋電計の値は正常値だった。
このような形態だけでなく口唇閉鎖の機能の問題を改善するためには抜歯しての治療も良いのかなと思った。