2003年10歳で初診の女性がクリアリテーナーの製作を希望して来院した。
初診時の主訴はかなりの出っ歯で相談に来ている。
混合歯列期にプレートで上顎の拡大や下顎の前方移動を行った。
永久歯列になり、非抜歯を希望されたので口元が出ていることは気になったが、それで仕上げた。
その後十数年、保定観察を続けた。その間クリアリテーナーの夜間使用は続けた。
そして昨年、終了として当方からのリコールは止めて、クリアリテーナー使用も患者さんの判断に任せた。
そして、今日はクリアリテーナーを使用を続けていたが下顎のリテーナーを紛失したということだった。
診てみると、左下中切歯が唇側転位し明らかに歯列からはずれている。
このまま印象採得して作るには抵抗がある。
現在、両側臼歯咬合関係は正常でオーバーバイト、オーバージェットもそれ程大きくない。
口元は出ているが口唇閉鎖も困難のようには見えない。そして、そこには主訴がない。
ただ下顎左側中切歯の唇側転位は治したいという。
通常保定後に起る変化を「後戻り」(リラップス)などと呼んでいる。
しかし初診時にそんな状態はない、永久歯治療開始時にその部にわずかな捻転があるが現状のようではない。
だから別な要因による変化とみるべきだろう。
どうするか相談の結果は、口元への主訴がないので抜歯して再治療というわけにもいかない。
以前の模型でクリアリテーナーを作っても入らないだろう。
結局、歯間をスライスして部分的にブラケットを付けることにした。
そして料金は終了を決めた後なので装置代程度をいただくことにし開始することとなった。