近頃、上顎犬歯が近心傾斜埋伏して隣の側切歯、中切歯の歯根を吸収するケースをよく見る。
今日の診断の10才女子は右上犬歯が近心傾斜し埋伏していた。
幸い、隣接側切歯根は押されて近心に傾斜しているものの歯根吸収はない。
歯列咬合を診てみると、その側切歯部は第一小臼歯が近心に萌出して隙間なく並んでいる。
咬合は犬歯がないわけだから正常咬合とはいかないが機能的には問題なさそうだ。
この場合、矯正歯科医としては何をどうしたらよいだろうかと考えた。
犬歯を萌出させるのは非抜歯では無理で、右上第一小臼歯の抜歯となる。
それでは、ほかの第一小臼歯も抜歯して並び替えるのだろうか。
患者さんの負担と効果を考えたとき、埋伏犬歯をそのままか、それの抜歯のみを提案した。
もちろんそのままの場合は慎重に経過観察をしなければならない。
たぶん口腔外科では抜歯を勧めるだろう。
保護者も抜歯を希望したので口腔外科へ依頼し矯正はなしということにした。
矯正歯科医は犬歯を抜くことに対抗があるが、今回は抜歯に決めた。