初診時、マルチブラケットでの治療は「2年以内を目指します」と説明する。
多くは2年以内にブラケットをはずしているが、そうばかりはいかない。
それでも、3年かかる患者さんは数えるほどしかいない。数年に1度程度だろうか。
今日は3年かかってしまった患者さんの保定診断を行った。
年齢は30代後半、上顎前突傾向の叢生だった。
さらに右上7を抜歯しなければならない変則的な抜歯ケースとなった。
上顎前歯部の叢生は案外厳しく、側切歯がなかなか排列できない。
排列できたら今度はだいぶ正中がずれている。
続いて下顎の抜歯スペースがなかなか閉じない。
閉じても傾斜移動で起こすのに期間がかかった。
起ると今度はかなりのオーバージェットがある。
2級ゴムを長期間使うことになる。
そんな状態で苦戦している頃、2年を迎えた。
2年を迎えると妥協的な終了を提案することもある。
しかし、この患者さんは期間が延びても、治療を続ける意向だった。
そこで、3年間もかかってしまった。でもかなり良い結果となった。
結局、術者が治すんじゃなくて患者さんの意志と協力で術者が引っ張られていく。
そんな治療だった。