顎変形症の術前矯正では初診時の症状を一見、悪化させることがある。
反対咬合の場合下顎前歯が舌側傾斜しているので唇側に移動する。
上顎前歯は小臼歯を抜歯して唇側傾斜を舌側にする。
そうすると手術前はひどい反対(マイナスのオーバージェット)となる。
そのことは診断で十分に説明してある。
でも、きょう患者さんに質問された。あとどのくらいは悪くなるのですかと。
その患者さんは下顎に軽度な叢生があり拡大して下顎前歯を唇側傾斜させた。
もう下顎前歯はそれ以上は出ない、でも上顎は叢生はほぼ治り抜歯空隙がある。
その隙間を閉鎖すると上顎前歯は舌側傾斜して悪化する。
来年夏の手術までの辛抱とわかっているようだが、どの程度まで悪化するのか心配のようだ。
気持ちは分かるがやむをえない。だからサージェリーファーストが行われるのだろう。
だが、それは健康保険では認められていない。
今までのケースでもここまで反対になるのかと思った症例もある。
それが、術後では確かに大きく変っていい状態になっている。
少しでも気持ちを和らげ、期待を持たせるためにそんな症例を見てもらうか。
早く術前矯正を終了したいものだ。