20代女性が来院した。
初診時、左上犬歯歯冠がが左上の中切歯と側切歯の根尖間にあった。
他は特別難しくない上下額の叢生だった。
この犬歯をどうしようかと悩んだが、萌出誘導することにした。
かなり深い位置まで開窓していただき、ブラケットを付けた。
最初はリンガルアーチを固定源に誘導を始めた。
なかなか出てくる様子がない、パノラマを撮ると動いていることはわかる。
そのうちに側切歯が唇側に近心に傾斜してきた。心配したが歯根吸収はしていなかった。
そこでリンガルアーチはやめ上顎のみマルチブラケットをつけた。
そうすると徐々に側切歯は正常に戻り犬歯は粘膜下まできた。
またすこし開窓しブラケットを付け直し、さらに牽引を続けた。
やっと今回、犬歯の唇面の普通の位置にブラケットを付けることができた。
ここまでで1年かかった。
叢生治療のための抜歯部位を決めてあったが、この犬歯が誘導できないことも考え抜いていなかった。
きょうでやっと犬歯の萌出が可能とみた。これで矯正治療のための小臼歯抜歯ができる見通しとなった。
だから1年遅れの通常の矯正が始まった感覚だ。
これからいままでの期間を取り戻すように速く治療をしていきたい。