
1年に1度いまだに観察させてももらっている患者さんが来院した。
初診時は開業2年目の昭和57年、診療所は沼津駅の南口のテナントだった。
患者さんは混合歯列期で上顎前突の男子小学生だった。
今では全く使わない上顎顎外固定装置を使った記憶がある。
非抜歯でオーバージェットも改善して良好な結果だった。
そのため日本臨床矯正歯科医会雑誌に投稿し掲載された。
その後も毎年、観察に来院してくれているがその後は治療はしていない。
現在はどのような状態かというと上顎前突が戻ったということはない。
下顎の前歯の叢生がだいぶ出てきている。
しかし両側の臼歯咬合関係はⅠ級でしっかり咬んでいる。
上顎前歯は下顎前歯の叢生の影響で少し叢生が出てきている。l
毎年診ているので、叢生がわずかにではじめたときから承知はしている。
どうしましょうかとも声をかけたりもした。
でも何もしてこなかった。現在40年近くたっている。
日本臨床矯正歯科医会の展示発表で長期観察症例といってもせいぜい10年20年。
こんな長い観察はほとんど見たことがない。
このケースは単純に”戻った”というわけではない。発表して検討してみるのが良いかもしない。