初診時11歳女子、前歯部は下顎歯が全く見えないほどの過蓋咬合だった。しかし唇側傾斜はほとんどなく叢生もない。
普通なら矯正の始まるケースではない。しかし初診で咬み合わせの深いことの問題点等を説明したら意欲的に矯正治療を行うこととなった。そして非常に良い協力のもとで治療は進行した。
バイトが深いということはブラケットがしばらくは下顎につけられない。上顎だけつけて何とか前歯を唇側傾斜させて下顎にもブラケットをつけるようにしたが、咬合で脱落してしまう。
特に初めのころは年齢が低くて永久歯が幼弱なため、リン酸エッチングしないしないで接着できる1液のボンディング材を使用した。そのことでブラケット脱落がとても多く、患者さんには迷惑をかけた。
その結果、リン酸エッチングしないボンディング材(日本で2社目)も駄目だと判断をせざるをえなかった。
そんなことでバイトを挙げるのに大変苦労して期間を費やしてしまった。結局、治療開始から2年が近づいてきてやっと挙がり始めた。今日は挙がり過ぎて切端咬合に近い状態となっていた。
これは多少戻ってちょうどよくなると見越して来月の装置撤去をきめた。
簡単だと思ったが以外とてこずった症例だった。