今日の初診相談は9歳女子で上顎前突だった。
歯は大きく、咬み合わせもやや深く、口唇も閉鎖しにくい。だから上顎前突の分類でよいわけだ。
しかしその状態で、矯正の相談を受けるかどうかは、各家庭で異なる。母親から学校検診では指摘しないのかと尋ねられたが、その程度を指摘すると不正咬合だらけになってしまう。
私も学校歯科医をしているが、検診の時には程度のひどい不正咬合しか指摘しないことにしている。
その子の治療の相談を他の矯正歯科医に相談した時に、ヘッドギアの写真を見せられて説明をうけたそうだ。
それに母子ともに強い抵抗をうけたと言っていた。それでまず最初に私にヘッドギアを使うかと尋ねられた。
実は私は30年間開業している中で、ごく初期の数年間しかヘッドギアを使ったことがない。ヘッドギアの効果を知らないわけでもないし、使っている歯科医を否定するものでもない。
しかし私もその母子が感じているようにヘッドギアを使わせる気にならなかった。
装置の選択はもちろん診断に基づき適切なものを選択するわけだが、どうしても矯正歯科医の好みも現れてきてしまうような気がする。そしてそれが患者さんの感性に合わないと治療への協力もしてもらえないだろう。