初診時12歳の女子で典型的な八重歯であった。
下顎の歯列に叢生がないため、非抜歯にてマルチブラケットによる治療を始めた。
1年3か月ほどで叢生は改善して、装置は撤去した。
当然、リテーナーは必要で、上下顎にクリアリテーナーを、装着した。
叢生がひどかったため1年ほどリテーナーの終日使用をしてそ、の後夜間使用に切り替えた。
更にその後、3か月ほど安定している様子をみたので6か月間隔をおくことにした。
それまで口頭では夜間使用を指示していたが、その時、毎回渡す書面にはその項目を書かなかった。
それが書いてないから、使用しなくてよいものと解釈してリテーナーを半年間使用していなかった。
結果は少し後戻り。本人はあまり気にしていなかったようだが、家族と相談して、再度マルチブラケットをつけることとなった。
書面に書かなかったのはいけなかったが、それを使わなくてよいと解釈されるとは思っていなかった。術者側と患者側の感覚の相違を感じた。
患者さんの立場に立って考えていかないと、このようなことが起こるのだと反省している。