初診時23歳女性、主訴は上顎前歯の叢生と切端咬合であった。
しかし右下の第一大臼歯が保存不可能な状態だった。その後方の第2、第3大臼歯は健全だった。
そこで、期間はかかるのを承知でそれを抜歯してその隙間をを後方から歯を移動して閉鎖する治療方針をたてた。
やり始めたがなかなか下顎第一大臼歯の空隙は閉鎖しない。第2大臼歯を近心に動かすと倒れてくるので、それを起こす、その繰り返しを延々とやってきた。
他の部はずっと前に治っているのに装置はずせない。
当院では2年を超えて装置を付けている患者さんはわずかだ。
2年を超えたころからあせりだす。しかし患者さんは期間がかかることは伝えてあったので、特に不満も言わない。
やっと、今日撤去することができた。2年と9カ月くらいかかった。
ホッとして撮影したレントゲン写真をみたら、歯根吸収もなく、歯根の平行性にも問題なかった。
この結果で、第一大臼歯の欠損部に補綴をしなくて済んだことは大変良かったと考えられる。
余分な9カ月はそれで勘弁していただこう。