初診は2005年、8歳の女の子にだった。主訴は受け口だが切端咬合、右側の交叉咬合だった。
上顎を側方拡大して、永久歯を待った。
11歳で永久歯列となり、マルチブラケットによる仕上げを行い、良好な咬合を得た。
しかし、保定中、少しずつ咬合が浅くなってきて、ついに開咬となってしまった。
こまったが成長が終わる時期まで待つことにした。
そして、高校入学後となり、女性ではもう成長を考えなくてもいい時期となった。
外科手術をするほどでもない。前歯歯根が短いため小臼歯抜歯もしたくない。
そこで、下顎の智歯を抜いて、アンカースクリューを植立して下顎の歯全体を遠心に移動する案を考えた。
だが、その智歯は両側とも立派なもので方向も大きさも十分ですでに出ている。その歯を抜いても治すべきことかどうか、悩んでしまう。
現在、患者本人は審美的にも機能的にも不自由は感じていない。それどころか、あまりやりたくない様子だ。
結局、治療は今回の診断では治療しないことになった。
今の開咬を治すことが、絶対に必要なことだろうかと自分に問いかけての結論かもしれない。
治療について