昼前に幸歯会の飯島先生から電話がかかってきた。「そちらで過去に治療した患者さんが来院している。顎関節の症状を訴えているが、歯並びも気になっているようだ」。と連絡があった。
すぐに本人から連絡があり、その足で相談に来院した。
古いカルテを引き出してみると、1995年初診、7歳女子、骨格性の反対咬合の症例だった。
治療は当時は当たり前だった、リンチン、と呼ばれていた、リンガルアーチ、チンキャップ、加えてスライディングプレートも使っていた。
半年くらいで被蓋改善、その後チンキャップのみを使い、成長の観察をしてきた。
カルテを見ると、「下顎が出てきた」とか「両側小臼歯部がオープンになってきた」とか「バイトが浅くなってきた」とかいずれも上下顎の成長のバランスが心配される言葉が書かれている。
結局、高校生になっても、被蓋は逆にならず(戻らず)、ほぼ安定していたのでマルチブラケットでの仕上げをしないで、終了していった。
実際に来院してみると25歳になった背の高い女性になっていた。上顎両側側切歯はやや後退して並んでいたもの位の、臼歯は両側とも安定し、そんなに悪い状態ではなかった。
しかし、バイトが浅いため、その側切歯を排列するためには、上下顎にマルチブラケットをつけなければならない。
そんな話をして今日は終えた。
近頃、当院で他の矯正歯科医院でもチンキャップは使われなくなってきた。
でも、今日の患者さんが現在、反対のかみ合わせでないのは8年間使ったチンキャップのおかげではないかと考える。
今、チンキャップを8年も使ってくれる患者さんがいるかな。
口の中を心配しながら除くと、