明日、外科手術のために入院する26歳女性が外科用のフックをアーチワイヤーにろう着するために来院した。
この患者さんの初診時の症状は右側のクロスバイト、当然下顎も右にずれていた。
しかし、咬合は安定していたので手術での対応はためらった。
矯正だけでの治療も可能かと思ったが、どこまで顔のゆがみを治せるか、また抜歯は必要となることは明らかだったので手術も選択肢の中に入った。
患者さんが外科を希望され、口腔外科医も了解したので術前矯正が始まった。
術前矯正でレべリングをしていっただけだが、右側のクロスバイトは改善して正中のずれも軽減していった。
今日で術前矯正が終わりだが、現状は叢生はない、わずかに正中のずれた上下顎前突というところだ。
これなら抜歯ケースとして矯正治療のみでの改善も可能な程度だ。
しかし、最初の方針の外科併用で患者さんも口腔外科医も進む予定なので、私もそれで良好な結果を得ることを期待している。
その一方で、矯正治療だけでは小臼歯4本抜歯が必要、外科をすれば抜歯は必要ないとすればどちらがよかったのだろうかとも思っている。
やはり矯正の抜歯は昔、言われていたような「便宜抜去」なのだろうか。
これからも矯正治療のみによる抜歯ケースはなくならないと思うが外科手術が発達して、そのケースは少なくなっていくように感じている。