10代後半の女性の矯正相談があった。
その患者さんは先にメール相談があったので添付写真で横顔は見てやや出ているとは思っていた。
マスクをしているからそれを取るまでは口元は分からなかった。
すぐの口を開けて口腔内写真を5枚撮影した。
この時分かったのは左側切歯のクロスバイト、左側のⅡ級咬合関係だった。
最後にすぐにマスクをしたので外してもらい横顔の出具合とと口唇閉鎖について診た。
確かにやや出ているが口唇閉鎖不全はないように見える。
相談は母親と一緒だった。一見、上顎左側側切歯だけが口蓋側に入っているだけのようだ、
下顎は叢生もなくきれいに並んでいる。オーバーバイトもオーバージェットも正常範囲だ。
問診票には出っ歯に丸がついている。でも咬合関係、特に前歯部は決して出っ歯ではない。
一通りの説明の中で口元を後退させるには抜歯の話をしなければならない。
当然と思ったが母親はなんできれいに並んでいる(側切歯の転位は分かっている)のに矯正治療は必要ないだろうという。
まして抜歯をするなんて、ということになる。
その気持ちは大変よくわかる。だからと言って側切歯を歯列の拡大で並べても娘さんは満足しないだろう。
それからどの程度に口元は後退するのか尋ねられた。
そこで、以前はホームページに載せてあった治療戦後の横顔の変化を待合室でタブレットで見てもらった。
それで納得されたかは分からないがしばらく見ていた。治療するのかはまだ決まらなかった。
最近、口元が出ている方の相談が多くなってきているように思う。
問診票の「出っ歯」では的確に表現できないのがこのような症例だ。
選択項目に「口元が出ている」とか「ガミー」などの選択肢が必要なのかもしれない。