歯根吸収は矯正治療に伴って起きる偶発症だが、レントゲン撮影でしかわからない。
当院では以前は歯根吸収の起こりやすい上顎の前歯のデンタルX線写真を3か月ごとに撮影してきた。
現在はデジタルのパノラマX線写真が撮れ、全体の歯根吸収がよく観察できるので半年に1回X線写真で観察している。
今日は装置装着から1年2か月たった21歳女性の撮影を行った。
その結果、左上中切歯に軽度の歯根吸収が認められた。そして、その事実を患者さんに説明した。
歯根吸収はいまだにはっきりとした原因と対策はない。しかし矯正治療をやめる(歯を動かす)ことで進行が止まることは分かっている。
けれど、途中で矯正治療をやめるわけにもいかない。
でも、その歯根吸収進行の事実を術者と患者が知っていると知っていないとではその後の治療が変わってくると思う。
きっと、仕上がりが厳密でなくても短期間で終了するだろうし、その部分へかける力も配慮するだろう。
それが、私が歯根吸収の研究をして、日本矯正歯科学会に4回展示発表、AAO(アメリカ)にも展示発表した結論の対策だと思っている。