一昨年初診で来院、8才2ヶ月の女子で症状は指しゃぶりによる開咬だった。
当然、指しゃぶりを止める指導をしてしばらく様子を見ることとなった。
その時点で結構ひどい開咬であったために、それだけでは治らないと思っていた。
だんだん指しゃぶりは止められても、それが舌癖に変わっていっている。
これらに対する訓練は以前から提案されている方法がある。
口腔周囲の筋を訓練するやり方MFTはよく講習会もある。先週の学会でも当クリニックの歯科衛生士が講演を聞いている。
私はMFTを否定するものでもないが、なかなかうまくいくとは思っていない。
そこで、どうしても矯正装置のほうに目が向く。まずはタングクリブを入れて舌の突出を防ぎ、また指しゃぶりが再発しないようにした。
だが、そのタングクリブも舌が出ないほど大きなものを入れるわけにはいかない。
その内側に舌を置いてもらうことを意識してもらう。しかし現実にはそれを乗り越えて舌の表面にクリブの跡が付いている。
そうなると次の手段は上下前歯8本にブラケットを装着し、ワイヤーを部分的に入れる。
そして上下顎間にゴムをかける。結局これが上手くいき今日ブラケット装置を撤去した。
この処置がうまくいけば数ヶ月で済むはずなのが、協力が悪い時期もあり半年かかってしまった。
訓練をやっていないで矯正力だけで整えて、この状態がどれだけ落ち着くかは心配だ。
でも舌がでにくい環境を作って治るんではないかとも期待している。