女子中学生の矯正相談があった。
口腔内写真を撮影しようと口腔内を見ると右上中切歯がはえていない。
その部に僅かに見える歯は尖っているように見える。
問診していくとその部分の歯はぐらぐらしている歯を抜いたという。
それは乳歯のことかなと思いながら、矯正治療の話しを進めていった。
それでもレントゲン写真を見ないとそれ以上の話しはできない。
レントゲン写真を撮って、説明すると診断になってしまう、などと考え込んだ。
でももう少し矯正相談時の説明を詳しくしたかった。
結局、パノラマX線写真撮影をした。
右上中切歯部に出てきたのは右上犬歯だった。
おそらく近心傾斜して萌出した犬歯が、中切歯を完全に歯根を吸収して乳歯のように脱落させてしまったのだろう。
それでは側切歯はとその遠心側をみると、乳犬歯と並んで側切歯の矮小歯だろうと思われる歯があった。
その矮小歯は乳犬歯より小さい位なので、歯根吸収を免れられたのかもしれない。
それにしても、犬歯の近心傾斜萌出が側切歯や中切歯の歯根吸収を起こすのはいままでに何度も見ている。
でも、中切歯が脱落してしまった結果まで見たのは初めてだった。
さらに左側も側切歯には吸収像がみられ、中切歯も歯根が短そうだ。
相談後、検査の予約をとっていったので、資料に基づき診断、治療方針を立てなければならない。
難しいが、他の専門医にも相談しながら方針を決定していくつもりだ。
そのことから歯の交換期(混合歯列期)にパノラマX線写真を定期的に撮影したいほうが良いのではと思った。