抜歯して仕上げるか非抜歯で仕上げるか、矯正診断でいつも悩むところだ。
10年前に16歳女子の軽度の叢生のケースを非抜歯で仕上げた。口元が少し出ているのははやや気になったものの口唇閉鎖はあまり困難なく、抜歯しなかったからしかたがないと了解して保定に入った。
リテーナーをよく使っていた時期は歯列は安定していたが、だんだん使わなくなってくると、叢生も現れてきた。そこで2年前に相談して、抜歯して治療することとなった。
結果は口元がすっきりして、歯の排列にも無理がなく、このまま保定で安定が得られると予想される。
それでは、最初の抜歯ケースとして治療していった方がよかったのだろうか。結果からは抜歯にしておけばよかったということになる。
しかし、一度非抜歯を経験して、そして納得して抜歯して矯正したことも、そんなに悪いことでもでもないように思う。
治療期間は合計すると長いことになる。
しかし料金は当院では施術料60万円以下の規定がある。そのため、抜歯に切り替えても、その差額しかいただかない。料金的にはさほどのディメリットはなかったように思われる。
先日、雑誌社からの専門医に対してのアンケートで抜歯と非抜歯の割合について尋ねられたが、当院では五分五分であった。
非抜歯治療だけを強調している矯正歯科医院があるようだが、そればかりが良いわけでもないように私は考える。